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【9時に寝るのは普通】
早起きになったのはずいぶん昔です。30代の頃は短眠ブームで3時間睡眠の時期があり、就寝から3時間が経過していれば起き出して活動をするうちに日の出前に起きる習慣がつきました。今の東京の日の出時刻は4時25分で一年のうち最も日の出の早い時期です。今朝は3時半に目を覚ましましたが、体内時計は正確でもう何年も目覚まし時計を使っていません。末期がんを自然治癒したことで世界的に知られる寺山心一翁氏は日の出42分前に鳥が鳴き始めることに気づき、自宅の三羽のインコに酸素を吸わせる実験で、木々が光合成を始め放出する酸素に反応していることを突き止めます。これを読んだ当初は半信半疑でしたが、阿武隈源流の森に住んでいたとき、その時刻に鳥が鳴き始めることを知りました。目覚める前の森の空気は神聖でさえあります。一日が24時間11分とされるサーカディアン・リズムを朝の太陽光が補正します。光の刺激を受けてから14~16時間が経過するとメラトニンの分泌が始まり夜8時頃には眠くなります。夜9時に寝ると言うと以前なら驚かれましたが、朝活ブームの昨今は一般的な認識になりました。 -
【歪んだ味覚】
食べることは好きですが、関心があるのは美味しく食べることであって美味しいものではありません。生命維持活動であるはずの食事を、食糧生産と都市が娯楽に変え、やがてハレの食事は日常食となり、際限ない欲望が現代人の味覚を麻痺させます。体の内なる声を聞かず、味覚のヒエラルキーを信じ有名店に行列を作ります。しかし本来の味覚は生きるための能力であり、飢餓状態で磨かれ戻ってきます。意図せず5日間何も食べなかったことがあります。旅館経営を始めた頃、仕事の悩みで何も喉を通らなくなりました。5日目になって切実に食べたいと思ったのは、たくわんと味噌汁とご飯で、決して高級店の食事や体に悪そうなラーメン、ジャンクフードではありません。飢餓を経験することなく、いつでも食欲を満たせる現代人は食事を局所的に捉え、正常な味覚を失い、ステレオタイプのグルメ情報に固執します。脳に操られるまま野放図に食べていれば不健康が蔓延するのは不思議ではありません。本当の味覚は自分の体に必要なものを見極める能力だと思います。 -
【スィーツは合法麻薬】
糖質を憎む過激な原理主義者だと誤解されますが実態は違います。糖質制限を信仰してはいますが同時に合法麻薬としてスィーツを使用しています。憎んでいるのは動脈硬化から起こる心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病、がん、認知症、自律神経の乱れによる心の病などあらゆる病気の元凶となる血糖値スパイク(グルコーススパイク)です。血糖値スパイクによって血管のあらゆる所で活性酸素が大量発生し血管が傷つき修復しようと集まる免疫細胞が血管細胞の内壁に入り込み動脈硬化を引き起こします。健康には気を使いますが、一方で食べたいものを我慢するほどストイックではありません。重要なのは適切な食べ方を知ることだと思います。食べる時刻や順序、十分な咀嚼と食事直後の運動などにより高GI食品を摂取しても血糖値スパイクを抑え込み健康を維持することは可能です。麻薬の合法化が進む理由は麻薬中毒を国が管理するためですが、違法性のないスィーツの場合、シュガーハイの中毒患者に管理を任せていることが生活習慣病を蔓延させる理由だと思います。 -
【減らす幸せ】
過剰なしには今の経済は成り立ちません。行き過ぎた物質中心主義はより広い家、より豪華な車、より美味しい食事、より新しい流行、より高い地位や名誉といったmore & moreの無分別な情欲を必要とします。足るを知らずさらに富むことを求める誘惑は経済の原動力ですが、一方で人の心を貶めると思います。会社を辞めてから通勤用のスーツも鞄も靴も不要になり減らす幸せを感じます。収入は減りましたが時間は増えました。340馬力の車を75馬力に換えてから車を操る喜びが増しました。70㎡の家から転居した34㎡の仮住まいは便利な上に掃除も楽です。340Lの冷蔵庫は170Lになり腐るものがなくなり過剰に買うこともありません。数万円したダイニングの椅子は2,000円のバランスボールに代わり体幹が強化され、3食から2食に減った食事で体重は78kgから58kgに減り、腰と膝から痛みは消え食事が美味しくなりました。医療費、燃料費、電気代、交通費、食費、交際費、税金とあらゆる経費が減り実質可処分所得と自由時間は増え、一方で失ったものは持つことによる厄介事とお腹の贅肉ぐらいです。 -
【3、4割過食のトリック】
農業革命以降の人類は麻薬的高揚感を伴うドーパミン型の食欲に欺かれてきたと思います。「人は小麦によって家畜化された」という表現はあながち外れていません。行列のできる飲食店もデパ地下の惣菜売り場もスーパーやコンビニのお菓子売り場にも血糖値スパイクの元凶となる高GI値食品が並び、インスリン過剰分泌による低血糖が中毒症状を引き起こします。必要を超えて継続的かつ余計に食べてくれることがフードビジネス成長の原動力です。糖質制限に対する批判の半分は無知によるものであり、残りは商売を守るためだと思います。古代より人類は糖質を摂っており、糖質ゼロの極論を主張したいのではありません。問題は現代栄養学が現状追認の誤りを今も教え、手の届くところにいつでも糖質がある飽食社会です。空腹による美味しさを知らず、低血糖と記号的なグルメ情報に操られていることを見過ごします。飢えと無縁の現代人が3、4割過食とする説は、このトリックにより説明がつくと思います。
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