新甲子温泉 甲子高原フジヤホテル(しんかしおんせん かしこうげん ふじやほてる)(福島県)

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  • 【空気が読めなくなった日本人】
    あおり運転殴打事件の容疑者の行動は常軌を逸し正当化されないことは当然として、他方でストレスに満ちた日本の道路環境が事件の背景にあることも事実です。実態と乖離した制限速度など、海外に比べ日本の道路はストレスに満ちています。イギリスのモーターウェイの制限速度は70mile/h(112km/h)で、制限速度が守られマナーが良くストレスとは無縁です。日本人の感覚からするとむしろ怖いほどのスピードなのに、大半の車が整然と規律ある流れを維持します。ニュージーランドでも制限速度は実用的で、路肩のない一般道の割に怖くてそんなにスピードは出せないという感覚です。中国の高速道路の最高速度は120 km/hで、追い越し車線の最低速度は110km/h、乗用車レーンは90km/h、トラックレーンでも60km/hと現実的ですが日本は一律50km/hとありえない低さです。低速車が追い越し車線を塞ぎ流れを止めても、警察はスムーズに車を流すという発想が欠落しているので、取締は限定的です。マナーではなくルールなのにそれを守らず、車の流れを止めても気づかない空気の読めない日本人が増えたことにも原因があると思います。

  • 【悲しみと向き合う日本】
    インドでの研修から帰国した娘を迎えに昨日成田空港に行きました。娘いわく、停電が減り、物乞いが物売りに変わり、女性の社会進出が増え、児童婚がなくなり、貧しい子供の学ぶ機会が増え、環境対応が生活に根付き、2年前と比べて明確な進歩があると言います。翻って日本を見たとき、再開発地域やオリンピック関連施設はこの2年で新しくなったのですが、殺人的なラッシュアワーや渋滞などの交通インフラの脆弱さは相変わらずで、少子高齢化も財政赤字も世帯消費支出も好ましくない方向に着実に向かっています。加えて増税や景気減速が懸念される時代にあって、夢と目標を持ち、緊張感をもって貪欲に生きることは容易くありません。明るく前向きな気持ちで生きるべきと考えることには無理があり、その脆さは歪を蓄積します。平均年齢23歳のインドと49歳の日本では親子ほどの年の差があり、23歳が夢と希望にあふれる春なら、49歳は人生の悲しみと向き合う秋でしょう。日本は無理に自分を鼓舞することなく、人間の本質である悲しみを受け入れ若い頃とは異なる尺度で、知恵をもって生きる時期なのかもしれません。

  • 【体現された執着】
    ドライブレコーダーの衝撃的な映像が話題になり、捜査一課まで投入されたあおり運転殴打事件は社会現象になりました。覗き趣味は品がないと思いつつ、容疑者のインスタグラムを見てしまいます。いつの時代も他人の不幸は蜜の味で、「インスタ映え」ならぬ「インスタ萎え」などと酷評されたコメントは9,000に及びます。妬みは人間の一種の生存本能とも言われますが、ステレオタイプの見せびらかし趣味は格好のターゲットです。高級車、高級ブランドと並んで目を引くのは糖質です。相当な甘党らしく、砂糖や小麦粉製品への強い依存を思わせます。警察官に取り囲まれたときの態度と高速道路上の振る舞いは別人ですが、屈折した内面の弱さの裏返しと被害妄想が態度に現れるのは虚勢を張る人間の特徴でしょう。元来執着の強い人間が、執着を喚起する自動車の運転に加え、甘党やパン好きが災いしたグルコーススパイクが自律神経のバランスを乱し常軌を逸した行動を助長したと思います。ありふれた暴行・傷害の容疑者が日本中から非難されるのは、誰もが振り払いたい執着を分かりやすく体現していたからだと思います。

  • 【食事、運動、休息の調和】
    自分の体は100年に渡って使うものですから大切にする必要がありますが、乱暴に扱う人が多いことから生活習慣病の蔓延につながっています。自分へのご褒美は多くの場合体に悪く、世界の年間癌死亡者はのうち喫煙が原因の人は100万人、アルコールは60万人と推計され、甘いデザートや甘味飲料、シメのラーメンを含め嗜好品は全て有害です。のんびり過ごす静養でさえ、安静状態が長期に渡り続くと筋肉の廃用性萎縮が起こりさまざまな心身機能の低下につながります。人間のあらゆる生理機能は使わないと衰える性質があり、動かし続けることが必要です。週末に行った鳳凰三山はスピードハイクなら午前中に戻れる山ですが、標高差1,700mを一気に登るルートは適度にスパルタンで筋肉痛が残ります。この時期FB友達の多くが山に向かい、聞くだけで怖気づくような距離を走破しているように、ハイカーにとって山は楽しみの対象ですが、トレイルランナーにとっては挑む対象です。健康のためには運動が奨励されますが、一方で鍛え過ぎて肉体を酷使すれば健康を害します。重要なのは食事、運動、休息の調和を取ることに尽きると思います。

  • 【集団自殺に向かうGDPカルト】
    英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」元東京支局長デイヴィッド・ピリングの著書「幻想の経済成長」を読みました。誤った生活習慣を推奨して人を病気にさせ、医療費でも儲ける不合理な経済のあり方に疑問を感じていたので、経済貢献の避けられない副産物として社会悪や不幸を容認するGDPカルトを批判する本書は共感できます。売春や薬物、ギャンブルが合法化される国との統計に一貫性を持たせることができない実務的な問題もありますが、経済成長の本質的な欠点は収入について教えてくれても富については何も教えてくれないことです。豊かだったイースター島が文明の最後の砦である樹木を伐採したことで不毛の地となったように、GDPというプリズムを通じて政策立案を行うと、集団自殺に向かいます。GDPの尺度を使いながらレジャーの時間や無報酬の家事労働を指標に追加し、指標から除外されるべき公害、犯罪、長時間通勤、森林喪失などの要素を引く、米国メリーランド州が採用を宣言したGPI(Genuine Progress Indicator)は現実的に思えます。

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